とくに、グアムは2002年末の台風、イラク戦争、SARSの影響で5月の半減をピークに上半期は大きく落ち込んだが、下半期に徐々に回復、9月に90%台まで戻り、11月以降は前年を上回っている。2004年に入っても好調に推移しており、1月は27.2%増の7万9640人、2月も42.0%増の7万7635人と2カ月連続7万人台を確保している。とくに、2月は2002年と比べても13.4%増と数字的にはJATAが目標とする02年レベルに戻っている。 GVBでは、今年のグアムへの日本人訪問者数の目標を85万人と設定、月平均7万人台で推移すれば、これは到達できる。ただ、米国の準州であるグアムの場合、2001年の米国同時多発テロ事件、イラク戦争などの影響が大きく、今後も外的要因の不安は残る。一方で、アジアはSARS、鳥インフルエンザの影響を受けており、どちらにしても、海外旅行は今年も外的要因で厳しい環境下にあることは間違いない。 9.11事件以降、米国向けの海外旅行需要が大きく落ち込んだことを受けて、航空会社は供給を大きく減らした。グアムも1〜2月は予約が取れないほどの満席状態が続いた。したがって、せっかく需要が回復しても供給が細くては大幅な需要増が見込めないことがグアムの悩みでもある。 航空会社は旅行者が間際傾向にあることから、4〜6月の需要動向を見て、ウインタースケジュールから便数、機材の見直しを図るものと見られるが、当面はゴールデンウィーク、夏休みの臨時便で需要に対応する。羽田−グアムのチャーター便も堅調なことから、4〜6月のグアム需要動向が今後のカギとなるだろう。 ![]()
グアムの場合、これまで「安・近・短」の代名詞とされ、低価格で行けるビーチのイメージが強かったが、昨年10月からGVBはグアムのブランドイメージ向上を図り、年末から年始にかけて、新しいポスター「さあ、南へ。日常から3時間 グアム」を告知、旅行会社にも配布し、高い評価を得ている。 日本から3時間の距離で行けるという利便性を維持しつつも、グアムの自然・文化・料理などをアピールしていく計画だ。 この方向性は正しいと思う。ブランドイメージを向上するためには、まずは消費者に告知することから始めなければならない。ただ、一般消費者にどれほど宣伝しようが、実際に行ってみて変わってなければすぐに底が割れる。また、今の消費者は、イメージだけで動くほど簡単ではない。 本気でブランドイメージを変えようとするなら、旅行会社や航空会社、ホテルのサプライヤーや現地が共通認識を持って変わらなければならない。 GVBはブランドイメージ向上について、これらの関係業界、現地と一緒になって進めていくことを強調しており、ここが重要なところだろう。 いくらFITが進行しても、それだけでは旅行者数は伸びないし、航空座席もホテルも埋まらない。ファミリー、OL、団体、シニア、ウェディング、ハネムーナーと様々顧客層がいて、様々な旅行形態がある。これらを分析しながら、万遍なく取り込んでいく努力が、必然的にブランドイメージ向上につながっていくのではないか。
そこから出てきた課題は、自然・文化・料理に対する告知が不足しているということだった。これは、グアムだけでなく、今の日本人が求めていることでもある。美しいビーチがグアムの最大の売り物だが、ビーチだけでない自然をもっとアピールすること、また、チャモロの文化や料理を日本人に紹介することが課題として求められた。 とくに、チャモロについては日本人の大半が知らないのが現実だ。 グアムならではの自然を知り、グアムの文化・料理を通じて現地と触れ合う、集約すればこの2点が新しいグアムを知ることになり、グアムのイメージ向上につながっていく。
グアムの顧客層のターゲットはメインをファミリー、OL、団体とし、セカンダリーターゲットをシニア、ウェディング、ハネムーナーに置いている。この中で、団体・グループの需要回復が堅調に推移している。 団体の場合、治安は絶対条件になる。その点、グアムは申し分ない。加えて、若い社員はマリンスポーツを好み、日本から3時間という距離もアドバンテージになる。英語圏であることも海外研修には大きな意味を持つ。これに、ソフトとしてのグアムならではの文化・料理を取り入れていけば、団体・グループの増加は今後も期待できる。GVBは団体旅行の促進で、今年もキャンペーンを展開していく計画だ。
また、海外旅行市場の一つの中心として熟年市場が拡大することを踏まえて、これに応えるデスティネーションになることが、ブランドイメージ向上に直結する。 SARS、鳥インフルエンザの影響で、熟年の海外旅行への回復が遅れているが、グアムは治安・衛生面の良さをアピールし、熟年向けのロングステイのリゾートとしてのアピールも今後の重要な課題となる。 既に、グアムでは、早くから熟年市場に注目し、「ロマンスグアム」などのプロモーションを展開してきた。熟年でグアムを体験した旅行者に聞くと、グアムの魅力を再認識した人々が多い。 「実際にグアムへ行ったらとてもリラックスできた」という熟年を中心とする感想が強みとなる。とくに、海、山を始めとするグアムの自然が素晴らしいという声が多く寄せられたという。 グアムの新婚旅行は一時は大ブームだった。この人達に当時の思い出と熟年になっても楽しめるグアムをアピールし、グアムのビーチでゆっくり本を読みながら、スローライフを楽しめるようなソフトづくりを期待したい。
グアムのこれから期待するマーケットとしてスポーツツーリズムがある。スポーツ施設が整ったことから、昨年のJリーグ、湘南ベルマーレに続き、今年はJリーグからは東京ヴェルディ1969とコンサドーレ札幌、プロ野球からは読売ジャイアンツがグアムでキャンプインした。また、大学の野球チームも合宿した。 日本のプロスポーツは12月〜2月がオフシーズンに当たるため、この時期は四国、九州、沖縄がキャンプの主流となる。しかし、沖縄を除いて季節的には厳しく、インフラが整えば、グアムか沖縄がキャンプの主流になる予感がする。 とくに、グアムの施設が整えば、これらのプロチームのキャンプインが増えることが予想される。また、一般のスポーツ愛好者もグループで利用するようになるかもしれない。スポーツ・ツーリズム・マーケットへの拡大が望まれる。
修学旅行マーケットも、今後の成長分野の一つだ。自然体験プログラム、「英語圏」の強みを発揮して、教育旅行、修学旅行の旅行先として、グアムへの注目は年々高まっている。2002年度のグアムを含むミクロネシアへの修学旅行(日本修学旅行協会調べ)で、件数が前年度比325%増、人数が619.3%増と大幅な増加をしめしていることは、マーケットは着実に拡大していることを示している。その要因としては、アクセスの良さ、費用面、気候の良さ、安全性」などが評価されている。 ただ、海外修学旅行はダイレクト便であることがまず前提にあるため、とくに地方空港からのグアムへの直行便を利用した修学旅行需要開拓が求められる。既に、アプローチは行われており、教師の視察も始まっている。 グアムには、「レジャーアイランド」のイメージがあり、学校側にこの偏見を払拭する必要があるが、グアム大学をはじめとするグアムの教育機関との交流プログラムの充実などにより、これを取り除いていく必要がある。また、教育的要素には学校交流だけでなく、地域住民との交流も大切で、そのためにもチャモロの歴史・文化をアピールしていかなくてはならない。
こうしてみると、それぞれの分野で、グアムがイメージ向上のために様々なアプローチを続けていることが分かる。イメージ向上戦略は端緒についてばかりで、これを長期的に取り組んでこそ実を結ぶ。 現地も台風被害を契機とする景観美化に努めている。タモンビーチに熱帯魚が戻ってきたことも朗報だ。ハード面の改善とともに、ソフト面の充実をしていかなくてはならない。そのためには、地域住民の協力は欠かせない。 GVBの話を聞き、現地を取材すると、「グアムの本来の文化、自然美を全面に出して、グアムのイメージを再構築したい」との声が多く挙がってくる。この意識を持ち続けていけば、日本人のグアムのイメージは確実に上がってくる。 旅行会社の現行パンフレットはグアム単独のものが少ないが、コンセプト商品でグアム単独のパンフレットの造成も、今後、グアム独自の魅力を訴える大きな要素となる。グアムだけのパンフレットができて、消費者がそれを取ることこそ、グアム独自のイメージが向上した証となる。 それにより、今年はまず日本人旅行者85万人を達成し、2005年の目標である100万人へのステップとなることを期待したい。 (写真・ポスター提供=グアム政府観光局) |
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